刹那の邂逅(夜昼)

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小さな声が聞こえる
お父さん、と
戸惑い、悲しみ、そして―…



□刹那の邂逅□



静かな夜が続く。
静かなだけで、それでも人の出入りはいつもの倍以上はあった。

最大勢力をほこる鯉伴だからというべきか、弔問に訪れる妖が後を立たない。

その為、組の皆はそちらに掛かりきりでたまに誰かがリクオの様子を見には来るが、リクオが床についてしまえばそれも自然と途切れた。

「………」

布団にくるまり、瞼を閉じるが眠気なんて一行に襲ってこない。

リクオは明かりの消えた暗い部屋の中で目を開け、ジッと天井を見つめた。

不意にその瞳がゆらりと揺れる。

「………お父さん」

じわじわと沸き上がってきた悲しみが、リクオの頬を伝う。

これ以上若菜を悲しませてはいけない。
心配をかけてはいけない。
と、リクオは幼いながら感じて、誰にも言わずに布団に潜り込んで泣いた。

「…っ…お父さん。…なんで、…ど…して…」

だから誰も気付かなかった。

リクオの中に生まれた闇に。

子供だから、…純粋であるがゆえにまた。

「…ゆるさない、…僕がっ―…」

《……ひ…る…》

たった一人を除いて――。



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